ざくっざくっざく
歩く。白い雪の道を。

ざくっざくっざく。
自分の足跡をつけながら。
歩んできた道を刻みながら。

ドサッ

背中から倒れこむ。仰向けに見た空からは
白い花が舞い落ちる。

しんしんと。
雪は、自分の体に降ってくる。


さくっ・・さくっ・・・
別の足音。よろめきながら、それでも確実に歩いてる。

さくっ・・・
覗き込む顔。
目と目が合った。
その人は笑った。そして、差し出される右手。
左手で掴む。
起き上がれば、積もった雪が落ちる。


ざくっざくっざくっ
さくっ・・さくっ
歩く。2人分の足音が響いて。
離れないように、左手は別の体温握って。

しんしんと。
一人だけだった足跡は消えてゆく。